小松イ草拡大プロジェクト【石川県小松市】
一戸となった『小松イ草農家』
小松イ草をアートに!
小松イ草拡大プロジェクト『始動』
○小松イ草の生産農家 「もはや一戸のみ」
畳文化は、日本民族の生活の知恵が生み出した固有のものであり、湿度が高く、天候の変化が激しい日本の風土で、「敷物」として育てられ、伝承されてきた。
然しながら、和から洋への『生活様式の変化』により、和室そのものが減少し『畳需要は減少』、加えて『安価な中国産畳表の輸入』により国内の栽培農家は減少の一途を辿っている。
畳表の原料となるイ草生産は、日本の暖かい九州地方(熊本県)で多く、最北に位置する石川県小松でも生産されてきた。
「小松イ草」は、昭和30年の「最盛期約1,400戸」だった生産農家が、『今では1戸』 となってしまい、新たな需要を開拓しない限り、小松イ草の生産と小松畳表の製造は途絶えしまう。この様な危機感からこのプロジェクトはスタートした。
○「小松イ草拡大プロジェクト」発足(H24.9月)
こうした状況の中、石川県中小企業団体中央会では、「小松イ草拡大プロジェクト」を立ち上げ、小松イ草を普及拡大につながる多様な分野のクリエイターらによるプロジェクトを組織。
小松イ草の従来の用途(畳表)の他、様々な分野での活用や魅力づくりに加え、「地域の良好なイメージ」と「イ草製品の品質の高さ」を重ね合わせた「小松イ草の地域ブランド化」をスタートさせ、農商工連携による新たな商品開発による市場開拓とその生産向上を目的に発足。
○「小松イ草」の歴史
小松イ草は、約550年の歴史をもっている。小松におけるイ草生産は、寛正三年(1462年)頃、吉竹村(現在の小松市吉竹町)釜見谷清右衛門が能美郡大野村(現在の小松市大野町)に自生していたイ草(在来種)を移植して栽培したのが始まり。
・前田利常による産業振興
藩政期の寛永17年(1640年)、小松城に入った加賀藩3代藩主「前田利常」が「小松表を奨励」して以来、歴代の加賀藩主が栽培を奨励したため広く普及し、大正時代には「全国第5位」の生産量を上げるに至った。
・昭和30年頃が最盛期
経済成長に伴うマイホームブームが到来した昭和30年頃に最盛期があり、約1400戸の農家が約300haで栽培していた。
・38豪雪の影響により生産者減少
戦後最大級の豪雪「38豪雪(さんぱちごうせつ)」の影響により、畳表の生産量が激減、繊維業へ転職する者が多くなり、作付面積の減少に拍車がかかる。(当時159ヘクタール)
・小松イ草の生産者と生産量
現在、生産農家は1戸(宮本隆史 氏)、栽培面積は70アールで畳表の年間生産枚数は2,400枚程度。イ草と稲作との複合経営で冬期間に小松畳表の製織し販売まで行っている。
○全国「イ草産地」とそのシェア
日本の主な産地は、熊本県八代地方であり、国産畳表の9割ほどのシェアを誇り、また歴史的文化財の再生にも使用される高級品を出荷する。他には福岡県・広島県・岡山県・佐賀県・大分県・高知県でも生産されている。
〇中国産と国内産イ草
今や、日本のいぐさ需要の約8割が中国で生産されている。しかし、輸入する畳表は、栽培方法、農薬の使用量が不明確で、イ草にとって健康的ない草を育てられる環境ではないことが多い。中国産畳表の市場価格は、国内産の約1/3~1/2で取引されている。
○イ草栽培「重労働で過酷」米作りの4倍の手間
農業全般の課題である生産者の高齢化に加え、イ草栽培を「重労働で過酷」と生産者の誰もが口にする。苗の植え付けは10月中旬の水田。冬が来る前に排水路を徹底してきれいにし、雪による根腐れ・雪腐れを防ぐために行われる。5月中旬には、イ草の成長を促進するために、イ草の先端を刈りそろえる「先刈り」を行う。
刈り取りは、梅雨明けとともに炎天下での7月中旬から7月下旬の作業。これで終わりではない。「泥染め」という重要な作業があるからである。これはい草特有の色を長持ちさせる ために行われるもので、刈り取ったイ草を染土(せんど)を溶かした水に浸し、そして機械乾燥を行う。「若い人には敬遠されてしまう」農作業である。
○「小松イ草拡大プロジェクト」の概要
・新しいチームによるブランドデザイン
小松イ草の生産者、畳店、家具工房、住宅会社、デザイナー、クラフト工芸、フラワーアレンジメントなど、多様な分野のクリエーターが協働し、小松イ草のブランド確立を進め、商品開発を行う。
・小松イ草アートの創造と推進
小松イ草の可能性を拓くものとして「小松イ草アート」を創造し、広く情報発信を行う。多様な分野から小松イ草アートに賛同するクリエーター、企業などを募り、普及に努める。
・小松イ草、小松表、小松畳のPR活動
小松イ草、小松表、小松畳の優れた特徴を、地域住民や様々な多様な分野の事業者への普及活動を行う。
・伝統的な地域資源である小松イ草の活用
小松イ草の新しい用途を開発し、需要を開拓することにより、転作田の利用、農業生産の向上、後継者の育成をはかる。
○小松イ草拡大プロジェクトメンバー
南出 謹七 (有限会社生活アート工房・代表取締役・小松市・家具製造)
架谷 和美 (フラワーコーディネーター・かほく市)
安井 章 (有限会社ブロス・代表取締役・金沢市・デザイナー)
○小松イ草関連商品・香林坊大和で販売(2013年)
香林坊大和において、今回開発された「小松イ草」商品の高い評価を得、3月29日(金)より6階「ナイスリビングのフロア」にて展示販売を行うことが決まった。
・販売期間:平成25年3月29日(金)~4月2日(火) 5日間 また、株式会社世界文化社(家庭画報)が運営する通販事業のショッピングカタログ(2013ショッピングサロン夏号)において5月30日より販売開始。全国15万部配布
○小松イ草拡大プロジェクト「開発商品 第一弾」
☆商品名:小松イ草の置きたたみ
洋間などに敷いて畳コーナーを簡単につくることができる小松イ草の置きたたみ。高級な小松表を使うことで、本物志向のユーザーに応えられる仕様。通信販売を主体にするため、ユーザーが簡単な作業で敷くことができるように、正方形にし、1枚の重量を軽量化(約4.5kg) 裏面には滑り止めもついており、置きたたみの位置がずれることはない。
・特 徴:板の間やフローリングの部屋に「置きたたみ」を敷くだけで、雰囲気を変えることができます。赤ちゃんのお昼寝に、趣味のお稽古事に。簡単に部屋の模様換えができます。 ・販 売 者:島内たたみ店
・販売価格:半畳タイプ 16,800円(税込)
一畳タイプ 25,200円(税込)
☆商品名:小松イ草の脚付きたたみ
洋風の家に住み、畳スペースを欲しいと考えている人を対象に、腰かけるタタミを創作。床に座ることが億劫になってきている中、高年層が主なユーザーと考える。
都市部の住宅は、部屋の面積が限られているため、置きやすい寸法を計算し、かつ、ある程度の存在感を放つサイズで造った。
木部は無垢材(ウォールナットとカエデの2種類)を使用し、本物志向のユーザーに応えられる仕様。
小松畳の頑丈さと丁寧な仕事ぶりを伝えるために、畳縁のステッチを敢えて見せた。正確な職人技できれいな幾何学模様に描いている。通信販売を主体にするため、ユーザーが簡単な作業で組み立てられる構造になっている。
・特 徴:腰を掛けたり、横になったり。部屋の一角に「小上がり」が生まれる。シンプルなデザインだから使い方は自由自在。
・販 売 者:有限会社生活アート工房
・販売価格:かえで無垢材 126,000円(税別)
ウオールナット無垢材 132,000円(税別)
☆商品名:小松イ草のたたみスツール
畳の語源は「ゴザをたたむ」から転じたものであるが、たたんで片づけられる小松表の本来の機能をスツールで表現。小松表は大量のイ草を詰めて織り込み、頑丈にできているため、腰かけることができる。
・特 徴:簡単に片付けられ、持ち運びも容易で、収納にスペースをとらないところが特徴です。ちょっとした腰掛けが欲 しいところに最適です。
・販 売 者:有限会社生活アート工房
・販売価格:かえで無垢材 28,000円(税別)
ウオールナット無垢材 29,000円(税別)